【エッセイ】地元を語れる奴 - 多重人格

【エッセイ】地元を語れる奴

 札幌に来てからと言うものの地元民でないということがやたら便利な場面がある。例えばキャバクラに行ったとき。俺北海道出身じゃないんだよねーと言っておくとそれなりに話題が広がる。えー、どこー? 名古屋。新卒でいきなり配属が札幌でさー。俺泣いたもん。へー大変だねー。じゃあさー……

 と言った塩梅で会話が続く。昔高校の英語の教科書でヨーロッパで初対面の人と話すときはとりあえず天気の話から入る、みたいな英文があった。それに倣えば札幌では名古屋の話で入るのが僕のセオリーである。あと、「愛知」ではなく「名古屋」と言った方がよい。他県の、しかも東海3県の位置なんて大抵の大人は正確に覚えていない。僕も4年札幌に住んでいるが、未だに岩見沢がどこにあるか知らない。北海道出身者が他県の人に俺、岩見沢出身でさー。とは語らないのと一緒だ。北海道と言えばよい。名古屋と言っておけば、名古屋嬢だの、煮込みうどんだの他県の人からもピンと来る。

 ここまではよい。問題はじゃあさー。の後。大抵ご当地の話になる。何何だがやーとか言うの? とか、八丁みそだの、喫茶店でコーヒーにトーストがつく話になる。そこへ来て「うっ」となる。僕は名古屋のことを全然知らないのである。

 名古屋弁ってどんなのがあるのーとはよく問われる質問だけれど、正直僕は喋れない。県民ショーなどでキャイ〜ンの天野が「〜だがや!」とか「〜だでね〜」などとわざとらしい名古屋弁を喋っているがこういうのはまず喋らない。地元のヤンキーか、お年寄りは使うかもしれないが、僕は使った記憶がない。なので無理矢理「なになにしりん〜」とか「なになにだら〜?」とか言ってみる。きゃーなんか可愛いね。とかなんとかキャバ嬢。だがその実これは三河弁であって名古屋弁ではない。大学時代に三河の彼女がいたのでその言葉を思い出しただけだ。分かりやすい名古屋弁ってないよな。

 コーヒーにトーストがついた経験もない。都市伝説なのかと思うぐらいである。それでも強引にそうそう、トーストつくんだよー。何だったらゆで卵もつくよ。などとネットで得た知識を披露する。すごーい。と返ってくるが、僕はそもそも喫茶店に行かないので名古屋知識はすすきののキャバ嬢と何ら変わりないのである。ちなみにみそ煮込みうどんも1回しか食べた事がない。まずいのに2000円もして憤慨した。

 こんな調子だから、僕に名古屋知識を期待しても無駄である。それどころか名古屋人である僕は県民ショーから名古屋の知識を得ている。なので地元のことを浪々と喋れる人って素敵だな。と思う。

 否。ほんとだろうか。ほんとにみんながみんな地元のことを語れるのだろうか。怪しいものである。だって札幌在住の人が時計台に行くとは思えない。わざわざデートでテレビ塔に登ったりもしないはずである。むしろ観光客の方が時計台に詳しいのではないか。僕も札幌に4年しか住んでないが、札幌のよいところであれば、小一時間は話が続く。外部の人のほうがむしろ地元をよく知っているのだ。

 それでも北海道在住の人に、北海道ってどんなところと聞くと、がんがんレスポンスがある。何だったら二条市場のバーに行きましょうよってな具合に愛を感じる。とたんに僕は不安になる。ああ、俺がおかしいのか。あれだ。最近若者に増えてる愛国心がないってやつ。韓国やアメリカにバカにされるやつ。そうそう僕って自分が住んでた地域に頓着ないんだよね。ちょっと自分にがっかり。やっぱり普通の人は地元を語るぐらいの愛は持ち合わせているんだろうね。群馬の人とかは群馬バカにされるとすごく怒るけど、僕は例え名古屋が沈没しようと鼻くそほじってたりするんだろうな。

 そんなことを思っていた折。ちょうど名古屋に帰る機会があった。久方ぶりの両親。ただ両親ともに別に名古屋弁らしい名古屋弁はしゃべっていなかった。うーん。やっぱり名古屋って特徴ないのかもしれん。ただ単に名古屋に語るべきことがないから語らないだけかもしれんと思ったところに弟登場。「おー、兄ちゃん帰ってきたがん。最近全然
 帰ってこんでね〜」
と、こてこての名古屋弁を喋り出す。
 ……やはり名古屋に特徴がないんじゃなくて僕に地元愛がないだけだったか……という気持ちに揺らぎかけたが、弟の耳にぶらさがるピアスを見て、弟はヤンキー属性があるからと断じて心に蓋をする。

 あなたの地元はどんな特徴がありますか。

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 Y平 (31)

現在:
Androidプラットフォーム開発者。シナリオ作成も趣味でコンテストに
色々応募をしています。人形劇もやっています。

略歴:
2004年〜2009年 名古屋大学で人形劇サークルで活動後、作家を目指すも挫折。
2009年〜 札幌のモバイルの会社に勤めて適当にプログラミングやらに従事。
2012年 ヒューマンアカデミー シナリオライター講座受講。シナリオライターに。
2013年4月、妻と結婚
2015年8月、オモコロライターになる

作品暦:
「えんむすび」 子供映画製作ワークショップ2012最終候補
「思い出はとめたままに」 2012年南のシナリオ大賞 落選
「マリモの人形劇」アニメシナリオ大賞 選考中(2015年4月現在)
「しっくす・パックす!」第22回電撃コミック大賞 選考中(2015年4月現在)
「上から」コバルト短編小説新人賞 選考中(2015年8月結果発表)

好きな作家:
筒井康隆 綿矢りさ 星新一 藤子・F・不二雄 戸塚たくす

その他活動:
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twitter 気軽にフォローしてください→@yhei_hei

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コメント
非公開コメント

いいねぇ~

2012-11-22 07:26 | from 山口孝志穂 | Edit

捧げます

45r9E91y
故・スティーブ氏に捧げます。
私の貞操、捧げます。
http://K7oY684y.forsteeeve.net/K7oY684y/

2012-11-23 05:29 | from 陽子 | Edit

山口さん>
ありがとうございます。読んでいただけるだけでかなり救われるのです。

陽子>
捧げてろクソが。

2012-11-24 16:56 | from Y平

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